子どもの自尊感情に関する日中韓比較調査研究

 

 

【調査概要】*なお、東京・北京はすでに報告書があがっているので割愛

 調査対象:韓国 小学校5年生男子197名、5年生女子191  /  小学校6年生男子189名、6年生女子163名、不明2名 合計742

 実施期間:20112月   調査内容:略

 

【調査結果と考察】本報告書では、主に韓国を中心に考察を行うものとする。

 以下、【図1-1】、【図1-2】に示した項目は、自己評価の中核をなす、あるいはそれに極めて強い影響を与えているという仮説に立ち、測定した項目の結果である。

 【図1-1】「あなたは自分のことについて次のように思いますか」

 

【図1-2】あなたは自分のことについて次のように思いますか

 

<考察> 

【図1-1】より、@「自分のことが好き」は、北京に次いで高い割合を示している。自分が好き([とても+まあそう])な割合は9割以上にのぼる。特に、A「今の自分に満足している」、C「自分は他の人からたよりにされている」については、三国中、最も高い傾向を示している。

【図1-2】より、G「自分の意見を持っている」は、三国中、最も高い傾向を示しているが、I「みんなの意見に合わせている」は最も低い傾向を示している。また、L「困難から逃避している」に関しては、4割以上が困難から逃避([とても+まあそう])している傾向があり、三国の中では最も高い割合となっている。

総合的には、北京と東京の中間を示している傾向が多い結果となっている。

 

【図2】あなたはどんな子どもですか

 

<考察> 

【図2】より、@「スポーツが得意」と自己評価している子どもは、「とてもそう」と答えている割合が北京=36.6%、東京=20.6%、韓国=20.4%と、三国中では最も低い。しかしながら、「まあそう」の割合を足すと、韓国は三国中最も高く、8割近い子どもが「スポーツが得意」と自己評価している。また、C「人よりよく知っていることがある」に関しては、北京と僅差ではあるが韓国が、最も高い割合を示していること等から、ある分野に関して非常に詳しい、あるいは強い関心をもっていることがうかがえる。F「幾つかいい所がある」に関しては、「とてもそう」+「まあそう」を足すと、韓国が約95%近い割合になっている。一方、G「幾つかわるい所がある」に関しても、「とてもそう」+「まあそう」を足すと、韓国が約9割近い割合を示していることから、韓国の子どもは自分について、肯定的、否定的の両面からとらえていることがうかがえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【図3】きょうだいはあなたを含め何人ですか

 

 

                                                                                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【図4】「現在一緒に住んでいる人を教えてください」

 

<考察> 

次に、自尊感情の形成因として大きな影響を与えて

いるだろうと考えられる家族との関係についてみてみる。

【図3】と【図4】に示したのは、兄弟姉妹の数と同居している家

 族の内訳である。北京は、一人っ子の割合が7割以上であるのに対し、韓国は、一人っ子の割合が三国で最も低く、二人きょうだいが6割以上を占めている。中国で一人っ子が多いのは、「一人っ子政策」が大きく関係しているといえる。

また、北京では、きょうだいとの同居の割合がそれぞれ5%程度であるのに対し、韓国は東京とほぼ同程度の2025%前後の同居となっている。また、北京が父方・母方の祖父母と同居が多いのに対し、東京や韓国は10%以下にとどまっていることから、東京、韓国は

核家族化がすすんでいることがうかがえる。

 【図5】家族関係に関する質問について

 

 <考察>

 【図5】は、家族関係に関する質問について、それぞれ項目毎に示したものである。これをみると、@「家族でよく話をする」については、韓国が最も低い割合を示しており、特に「とてもそう(よく話す)」の割合は北京が約7割、日本が約5割であるのに対し、韓国は約3割という結果になっている。

 また、A「家族からほめられる」、B「家族から大切にされている」は、北京に次いで比較的高い割合([とてもそう+まあそう]の割合が、それぞれA9割弱、B約9)を示している。

 C「家族から勉強しろと言われる」に関しては、三国中、最も高い割合を示しており、北京の「勉強しろと言われる」割合([とてもそう+まあそう])が約3割であるのに対し、韓国は2倍以上の約7割に達していることが分かる。これは、東京の約5割よりも2割以上高い結果であった。このことから、韓国では親が子どもに対する勉強について高い関心を示し、日常的に勉強するように促している傾向がうかがえる。

 D「家族を尊敬している」に関しては、韓国が北京に次いで約9割近い子どもが「家族を尊敬している」([とてもそう+まあそう]の割合)という傾向がある。一方で、Cの影響もあってか、E「親に文句を言う」では、約7割([とてもそう+まあそう]の割合)の韓国の子どもが親に文句を言っている様子がうかがえる。これは、北京や東京よりも高い割合であり、特に、北京では「親に文句を言う」([とてもそう+まあそう]の割合)のは、約2割程度にとどまっていることからも、韓国はその3倍以上の子どもが親に何かしらの不満を抱き、文句を言っている様子がうかがえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【図6】あなたは次のような経験をしたことがありますか

 

 <考察>

 次に【図6】は、「あなたは次のような経験をしたことがありますか」という質問に関する、それぞれの項目毎の結果である。

 @「海や川で泳ぐ、虫とり、魚釣り」の経験に関しては、東京が最も高い割合を示しており、韓国はそれに次いでいる。しかし、東京の「たくさんした」の割合が約4割であるのに対し、韓国はその半分以下の1割強、北京にいたっては1割にも満たない結果となっている。このことから、韓国・北京ともに体験活動、特に屋外に出て自然と触れる機会が減ってきている傾向がみられる。しかしながら、D「自然の美しさや芸術作品に感動する」こと等は、約7([たくさんした]+「わりとした」)の人が感動していると答えていることから、体験不足があるものの、自然や芸術に対する感動の心は持ち合わせていることがうかがえる。

 A「お年寄りから昔の話を聞く」に関しては、三国で最も低い割合を示している。これは、同居している家族構成も大きく影響していると言えるが、東京、韓国ともにお年寄りからの話を聞く割合が約5割となっており、お年寄りと触れ合う機会の減少をうかがわせる。一方、C「家族から先祖の話を聞く」に関しては、北京に次ぐ割合を示しているものの、約半分にとどまっている。

 

【図7】あなたは自分の将来のことをどう思いますか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【図8】未来のあなたの国はどうなっていますか

 

<考察>

 【図7】は、三国の子どもに対してどのような未来予想を描いているのかについて尋ねた結果である。@「頑張れば夢はかなう」、A「仕事で成功する」などをみてみると、北京、韓国とも高い割合になっており、未来に対する肯定的な意識をもっていることがうかがえる。また、A「海外に留学してみたい」という割合も北京に次いで高い割合となっていることから、自国のみならず、外国への関心も高いことが分かる。また、C「お金持ちになる」に関しては、東京や北京に比べて非常に高い傾向を示している。「お金持ちになる」([とても思う]+「まあ思う」の割合)と答えているのは、東京が5割に満たないのに対し、韓国は9割以上の人がその割合を占めていることからも、未来の経済的安定について非常に強い意識をもっていることがわかる。

 次に【図8】をみてみると、韓国の子どもは「よくなる」(だいぶ+少しよくなる)と答えた子どもが約9割であったのに対し、北京は「だいぶよくなる」と答えた子どもが9割以上であり、東京は各項目にばらつきがみられる。

 

 

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